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危機管理広報マニュアルの重要性と作成のポイント

ある日、会社に出社したら、ネット上で自分の会社が炎上していた…。そんな時、広報担当のあなたはどのような対応を取りますか?
 
ネット炎上に限らず、工場火災、異物混入、情報漏えいなどの危機が発生した場合、「危機に対してどのような対応を取ればよいか分からない」と感じる担当者は多いのではないでしょうか。
危機発生時は、事態収束のために迅速な対応が求められます。そのため、危機が発生してからどのような対応を取るか迷っていると、対応が後手後手に回り、事態をより悪化させてしまう恐れがあるのです。
 
危機が発生した際の対応指針として機能し、事態収束に向けた行動を支援するのが危機管理広報マニュアルです。このマニュアルがあれば、危機の際に何をすべきか、次にどのような行動が必要か、注意すべき点は何かを迅速に確認することができます。
 
今回は、危機管理広報マニュアルを作成する意義や、作成のポイントなどについてご紹介いたします。

目次[非表示]

  1. 1.危機管理広報マニュアルと危機管理マニュアルの違い
  2. 2.危機管理広報マニュアルの作成する意義
    1. 2.1.対応手順の明確化
    2. 2.2.自社の現状把握
    3. 2.3.一貫性のあるメッセージの発信
    4. 2.4.役割分担の明確化
    5. 2.5.広報資料の事前準備
  3. 3.危機管理広報マニュアルの作成のポイント
    1. 3.1.自社にあった内容の作成
    2. 3.2.リスクの洗い出し
    3. 3.3.社長や取締役など上層部の理解・承認
    4. 3.4.社内広報についての記載
  4. 4.危機管理広報マニュアルの作成後のポイント
    1. 4.1.マニュアルの見直し・更新
    2. 4.2.訓練・勉強会の実施
  5. 5.まとめ


危機管理広報マニュアルと危機管理マニュアルの違い

危機管理広報マニュアルは、社内外に向けたコミュニケーション(広報)活動を適切に行うための指針と具体的な対応を記載したもので、広報部が主管部署となります。
マニュアルには、下記のような項目が含まれます。

  • 広報担当者の心構え
  • 対応組織
  • リスクの洗い出し
  • 初動対応
  • 情報収集・情報共有
  • 広報対応方針の決定
  • 広報資料の作成
  • メディア対応(受け対応、WEBサイトでの情報発信、プレスリリースの発行、緊急記者会見)
  • 社内対応
  • 収束に向けた対応

「危機管理広報マニュアル」混同されやすいもの「危機管理マニュアル」があります。

危機管理マニュアルは、組織全体が危機そのものに対してどのように対応するか、包括的で全社的な対策や手順を定めたものです。簡便な広報対応を含め、危機が起こる前のリスク管理、全社的な危機発生時の具体的な行動計画、意思決定プロセス、事後対応までを網羅しています。主に総務部や危機(リスク)管理委員会が主管部署となります。
 
危機管理マニュアルは、危機が発生した際の危機そのものへの対応手順を明確にしています。しかし、危機発生時は危機そのものへの対応だけでなく、メディア対応やステークホルダーへの広報活動(コミュニケーション活動)も事態の収束には不可欠な対応です。適切な広報対応を取れるかどうかで、企業の信頼が大きく異なってきます。事前に危機管理広報マニュアルを準備することで、適切な広報対応を取ることが可能となり、ステークホルダーからの信頼低下を防止することができるでしょう。

危機管理広報マニュアルの作成する意義

危機管理広報マニュアルを導入する意義は主に以下の5つとなります。

対応手順の明確化

クライシスが発生した時の初動対応から収束までの手順をマニュアルに記載しておくことで、自分たちが今どのフェーズにいて、次に何をすべきか、ということを明確にすることが出来ます。クライシスの時は迅速な対応が求められるため、あらかじめ手順を決めておくことで慌てずに対応を取ることができるでしょう。

自社の現状把握

危機管理広報マニュアルを作成するには、まずリスクの洗い出しを行う必要があります。どのようなリスクを抱えているかは企業によって異なるため、リスクの洗い出しによって自社の状況を把握することが出来ます。このリスクの洗い出しで今まで認識していなかったリスクを把握することもあります。リスクは危機(クライシス)にさせないことが重要なので、自社のリスクを把握し、危機に発展しないよう防止する施策を取り組むことができます。

一貫性のあるメッセージの発信

危機発生時には情報が錯綜し、混乱が生じやすいため、組織のメッセージに一貫性を欠く恐れがあります。一貫性のないメッセージはステークホルダーの信頼を損なう恐れがあるため、危機管理広報マニュアルで方針を明確にし、組織全体で統一されたメッセージを発信できるようにします。

役割分担の明確化

危機発生時には多くの従業員が関与するため、役割分担が曖昧になる可能性があります。マニュアルを通じて広報担当者の役割や責任を明確にすることで、組織全体でスムーズな対応を行うことが出来ます。

広報資料の事前準備

クライシスが発生した際に必要となる資料(ホールディングコメント、ウェブサイト掲載文、Q&A、プレスリリース、記者会見の案内状、進行台本など)は多岐にわたります。これらすべてを危機の最中に作成するのは非常に困難です。マニュアルの作成時にこれらの資料のフォーマット、作成のポイント、過去の事例を準備しておくことで、迅速な広報資料作成が可能となります。

危機管理広報マニュアルの作成のポイント

危機管理広報マニュアル作成のポイントは以下の4つとなります。

自社にあった内容の作成

組織の規模、業界、企業文化、顧客層など、自社の特性に応じた内容を作成する必要があります。画一的なテンプレートの内容ではなく、組織独自のオペレーションやリスクを考慮したマニュアルを作成することが重要です。

リスクの洗い出し

リスクの洗い出しは危機管理広報マニュアルを作成するうえで、最も重要な作業です。この作業で網羅的にリスクの洗い出しが出来ずに、見落としたクライシスが発生すると、適切な対応を行うことが出来ない可能性があります。リスクの洗い出しを行う際は、組織内部だけでなく、顧客やパートナー、法的な視点など外部環境の変化や社会的影響も考慮して洗い出すことが大切です。

社長や取締役など上層部の理解・承認

作成した危機管理広報マニュアルは、社長や取締役などの上層部の理解・承認を得ることが重要です。広報部内だけで作成し、上層部からの理解・承認を得ることができていない場合、せっかく作成したマニュアルが機能しない恐れがあります。上層部の関与により、マニュアルの実効性と組織全体での実施体制が強化されますので、必ず上層部の理解・承認を得るようにしましょう。

社内広報についての記載

見落としがちになるのが、社内の従業員に対する情報発信です。危機には全社一丸となって対応することが重要です。また、従業員への情報共有を怠ると、事情を把握していない従業員が記者からの問い合わせに不用意な対応をしてしまう恐れがあります。社外のステークホルダーへの対応だけでなく、どのタイミングでどのような情報を社内の従業員に共有するのかも明確にしておく必要があります。

危機管理広報マニュアルの作成後のポイント

マニュアルは作成して終わりではなく、以下のような取り組みを行うことが重要です。

マニュアルの見直し・更新

事業環境の変化や新たなリスクの出現に応じて、定期的な見直しと更新が必要です。また、自社で危機が発生した場合は、その時の対応やステークホルダーからの評価などを追記することも重要です。過去にどのような対応をとったか記録することで、次の対応の参考にすることが出来ます。

訓練・勉強会の実施

作成したマニュアルが適切に運用できるか確認するためにも、「メディアトレーニング」や「シミュレーショントレーニング」を行うことも重要です。また、関係者を集めた勉強会を行うことで、マニュアルの実効性を確認することができるので、定期的に勉強会などを行うと良いでしょう。

まとめ

危機管理広報マニュアルは、企業や組織の存続と信頼・信用を守るために必須のツールです。リスクの特定から初動対応、広報戦略の立案、広報対応の実行、危機後のフォローアップに至るまで、包括的かつ現実的な対応策を盛り込むことで、危機に備えることができます。定期的な見直しと訓練を通じて、常に万全の態勢を整えることが、危機発生時における成功の鍵となります。

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